パステルと色鉛筆を使ったイラストの私の描き方を紹介します。あくまで一例ですが、ぜひ参考にしてみてください。
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描く紙はタッチによりさまざまな質感の紙を使い分けていますが、比較的パステルの伸びが良い、そして色鉛筆の線がひきやすいという理由で製図用のケント紙をよく使っています。
今回の作例も、ケント紙で描画作成したものを載せております。
まず、どんな作品にするか、考えます。これが一番楽しくて、一番時間がかかるところです。だいたいこのときはデスクにおらず、どこか別の場所でほけーとしているときが多いです。
他に、車の運転中や、別のことをしているときにふっと沸いてでてくるときもあります。
決まったら、全体の構図、彩色したときのカラーバランスなども考慮しながら、下絵作成にとりかかります。
下絵の作成
下絵を作成します。
作成過程で下からライトを当て、紙を透過させることが多いので、トレーシングペーパーに描いています。
線は上に紙を重ねて透過してもはっきり見えるよう、ペンでしっかりと描きます。
画材を紹介。
これが私の愛用画材、ヌーベル・カレーパステルです。
パステルは誰でも簡単にグラデーションの表現ができる、お手軽画材。
私はこの48色基本セットと追加購入したものを使用しています。
折れたり汚れたりして少々お見苦しいのはかんべんしてね。
背景を描く
背景を塗る際に、主題材となるもの、たとえば人物だったり、動物やクルマだったり、この絵では魚にあたりますが、はみだしたくないものをマスキングします。
パステルは、はみでた部分は消しゴムで消せるのですが、紙の繊維の奥に入った色や濃い色は完全には消せず、しかも暗い色の上に明るい色をのせても発色しないため、マスキング処理が必要になります。
もう一つ、パステル画に限らず、水彩画でも、白というのは紙の素材である白を有効活用します。なので、白いエリアは可能な限り何も塗らない状態でいなければなりませんので、マスキングをおこなうわけです。
マスキング紙は、お手軽な「貼って剥がせるインクジェットプリンタ用転写紙」を使っています。本来こういう使い方をしない用紙なのですが、ケント紙との相性がいいのでよく利用しています。
これも、下絵トレースと同じく、下絵をなぞってマスキング紙に写します。
写し終えたら、切り取り、画紙に貼付けていきます。
マスキングシートを使うのが本来の方法ですが、私の場合はこの方法が早いのでシートを使わずに、剥がせる転写紙を使っています。
すべてマスキングが終わったら、いよいよ着色です。
まず、コピー用紙などの紙に、パステルを擦り付けます。
パステルは簡単に色の粉となります。
その色の粉をコットンやティッシュ、時には指ですくって、画紙へのせていくわけです。
今回は若干濃いめのブルーを着色します。
まず、下地に明るいブルーをのせていきます。
中央左の大きなウミガメにはマスキングが施されていませんが、このウミガメはもともとがダークブルーなので、マスキングせずとも上から重ね塗りする事が出来るので省略し、目などの白抜きする部分のみマスキングしています。
こうやって少しでも効率化を計り、作成時間を短縮させます。効率化と時間短縮もテクニックの1つです。
下地を塗り終えたら、本命の色をのせていきます。
この時にただ青をベタ塗りするのではなく、下地の明るい青を生かし深層部は濃く、水面域は少し淡い目にしたり等の工夫をします。
この濃い青を下地無しで直接塗ると、色ムラを起こし訂正が大変です。
写真ではすでに使っているのですが広い背景を塗る場合、コットンを使用します。
ふだんはティッシュを使用しますが、ティッシュよりコットンの方が色ムラを起こしにくいようです。
輪郭が不必要などの理由でトレースしていない部分を誤って塗らないよう、確認しながら、作業を進めていきます。
とはいえ、もし塗ってしまっても、ある程度は消しゴムで消せますから、はみでても構わずに続行します。
はみ出ないよう気にしすぎると、その部分だけえらく濃くなったり、逆に遠慮し過ぎて薄くなってしまったりすることがあるので、むしろ気にせず思いきってはみだして、それにより色ムラを少なくする方がいいかと思います。
塗り終わったら、マスキングをはがします。
粘着シールが画紙に残らないよう、また、画紙を破いてしまわないよう、ゆっくりとはがします。
この時、マスキングの境目にはパステルが積もっているので、丁寧に取り除きます。
はみ出た色を消します。
練り消しゴムを使うと、カスがでないし、こすりすぎて画紙がほつれたりしにくくなります。
細い部分はペン型の消しゴムを使います。
すべてマスキングをはがしはみでている部分を訂正し終えたら、
再度チェックし、その後、定着スプレーをかけます。
パステルは「紙の上に色粉を置いた」状態でしかないので、指でこすれば簡単にかすれてしまいます。
そこで、定着液を吹き付け、固定させる必要があるわけです。
この定着処理を施した後は、当然ながら消しゴムをかけて消すことはできなくなります。
もう訂正箇所はないかよく確かめてから、スプレーをふきつけます。
ふきつけ加減にはある程度の慣れが必要で、吹き付け過ぎると色がにじんでしまい、控えめすぎると定着効果が薄かったりします。
背景の海が完成しました。
次のページでは、サンゴと磯の岩を例に、背景でありながら細かい描写を必要とする部位の描き方をご案内いたします。